民法には、法律行為の効力を将来の不確実な事実にかからせる「条件」という仕組みがあります。条件には停止条件と解除条件の2種類があり、それぞれ効力の発生・消滅に関わります。
今回は、条件の意味・2つの類型の実例・条件の成就をめぐる問題・そして期限との違いについて整理します。
条件とは何か
規範定立
条件とは、法律行為の効力の発生または消滅を、将来の不確実な事実にかからせる意思表示の付款です(民法127条参照)。
「将来の不確実な事実」という点が重要です。必ず起こる事実(死亡など)にかかるものは条件ではなく「期限」となります。起こるかどうか不確実な事実にかかるものが条件です。
停止条件
意味
停止条件とは、条件が成就したときに法律行為の効力が発生するものをいいます(民法127条1項)。条件が成就するまで効力が発生していない状態です。
実例
「来年の試験に合格したら、この土地を贈与する」という約束が典型例です。試験に合格する(条件成就)まで、土地の贈与という法律行為の効力は発生しません。合格した時点で初めて贈与の効力が生じます。
他にも、「融資が承認されたら効力を生じる」(融資承認を条件とする売買)、「許可が下りたら営業を開始する」なども停止条件の例です。日常取引でも広く使われています。
解除条件
意味
解除条件とは、条件が成就したときに法律行為の効力が消滅するものをいいます(民法127条2項)。すでに効力が生じており、条件成就によって効力が「解除」される状態です。
実例
「大学を卒業するまで毎月仕送りをする」という約束が典型例です。仕送りの効力はすでに発生しており、卒業(条件成就)によってその効力が消滅します。
他にも、「資格を失ったら契約を終了する」「一定の売上を下回ったら契約を解消する」なども解除条件の例です。
条件の成就と不成就をめぐる問題
条件成就の妨害(民法130条)
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が、故意に条件の成就を妨げた場合、相手方は条件が成就したものとみなすことができます(民法130条1項)。
たとえば、「売上目標を達成したらボーナスを払う」と約束した使用者が、達成直前に故意に営業機会を奪った場合、受贈者は条件が成就したとして贈与の履行を求めることができます。
条件成就の不正作出(民法130条2項)
条件が成就することによって利益を受ける当事者が、不正に条件を成就させた場合、相手方は条件が成就しなかったものとみなすことができます(民法130条2項)。
公平の観点から、条件の成就・不成就を一方当事者が恣意的にコントロールすることを防ぐ規定です。
条件付き権利の保護(民法128条・129条)
条件が成就する前であっても、条件付き法律行為の各当事者は、条件の成否が未定の間における相手方の利益を害することができません(民法128条)。また、条件付き権利は、一般の規定に従って処分・相続・保存できます(民法129条)。
期限との違い
期限とは
期限とは、法律行為の効力の発生・消滅または債務の履行を、将来の確実な事実にかからせる意思表示の付款です。条件との最大の違いは「確実性」です。
確定期限と不確定期限
期限には確定期限と不確定期限があります。確定期限は「来年の1月1日に」のように時期が確定しているものです。不確定期限は「Aが死亡したときに」のように発生することは確実だが時期が不確定なものです。
死亡は必ず起こるので「条件」ではなく「期限」です。これに対して「試験に合格したら」は合格するかどうか不確実なので「条件」です。この区別は重要です。
比較整理
停止条件は「不確実な事実が起きたら効力発生」、解除条件は「不確実な事実が起きたら効力消滅」、始期(期限の一種)は「確実な事実が起きたら効力発生」、終期(期限の一種)は「確実な事実が起きたら効力消滅」です。
停止条件と始期、解除条件と終期はそれぞれ似た構造を持ちますが、事実の確実性によって区別されます。
まとめ
停止条件は条件成就で効力が発生、解除条件は条件成就で効力が消滅します。いずれも将来の不確実な事実にかかる点が条件の本質です。
条件の成就・不成就を一方当事者が故意に操作した場合、相手方はそれぞれ公平な扱いを受けることができます(民法130条)。
期限との違いは確実性にあります。必ず起こる事実は期限、起こるかどうか不確実な事実は条件です。この区別を軸に整理しておくと、試験問題を見たときに迷わず判断できるようになります。
免責事項:本記事は行政書士試験を勉強中の運営者が、学習内容を整理・言語化したものです。法的助言・法律判断・代理行為を行うものではありません。個別の法律問題については、弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。
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