傷害罪の被害は思ったより「重かった」
2026年時点で、8年前の冬のことです。おおよそ2018年です。
趣味がマラソンや駅伝を走ることだった僕。当時、クラブ駅伝で区間賞を取って、完全に悦に浸っていました。
チームの打ち上げ飲み会、一次会は和やか。
当時、事業もまあまあ上手くいっていて、財布もほかほかだった僕は、「このあとは一人でラウンジでも行こか」と思っていました。
それが地獄の始まりだったわけです。
リーダーが「一緒に店に行こう」と言い出した
一次会を仕切っていたのは、クラブチームのリーダーです。 当時から仲良くしてもらっていた人でした。
「俺が奢ったるから、好きな店行こうよ」
そう言われたんですよね。こちらとしては、遠慮する理由もありませんでした。
一人で行く予定だった高級ラウンジに、そのまま一緒に行くことにしました。
「VIPルームいいです?」と確認しても「ええで! 俺が出すわ!」と終始ご満悦。
僕の行きつけだったので、スタッフにも顔が利いて、リーダーも気分よさそうにしていました。
それが嬉しかったんです。ただし、この時点では。
リーダー激怒!ラウンジ大荒れへ
延長もして、リーダーも女の子にお酒をしこたま飲ませていたので「まあ、高いだろうな」とは思っていました。
領収書が来ました。
「128,000円(Tax込み)」
「あー、リーダー大丈夫かよ…」
嫌な予感がしました。
「そんなの出せるわけないだろ!!ぼったくりじゃないか!」
案の定、激怒。その人、酒癖が悪いんですよ。暴れまわり始めて、店内にグラスが散らばりました。
そもそも、VIPルーム入ったらそれぐらいいくでしょ…。心で嘆きながらも。
そして僕はリーダーから、タブレットで顔面を20回程度殴打、殴る蹴るの暴行を受け、そのまま救急搬送されました。
格闘技をやっているので、正当防衛でも手を出したくなかったですが、防御態勢でコンタクトが外れたのが痛手。ボコボコにされました。
何より、行きつけの店内でした。それが一番痛かったんですよね。
「あぁ、もうこの店にくることはないだろうな」
救急車の中で、なんでこんなことになってしまったか嘆きながら、意識が落ちていきました。
刑事告訴と民事訴訟を進めた
翌日、病院から帰ると警察から連絡が来ていました。
管轄の警察署で状況を説明しました。
刑事一課の方曰く、店内のカメラには、僕が手を一切出さず、リーダーが一人で暴れている様子がしっかり映っていたようです。
余談ですが、正当防衛が成立する場面でも、後から見たときに事実関係が明確になるため、防御に徹するか、その場から離れる対応の方が有利に働くケースは多いです。
※もっとも、正当防衛が認められる場合もありますが、過剰防衛と評価されないよう注意が必要です。
また、リーダーの住所も電話番号も本名も把握していたため、告訴することにしました。
お店には、お詫びの品と気持ちの封筒(20諭吉程度)を渡しつつ、リーダーの連絡先を置いて「あとは加害者に請求してください」と伝えて去りました。
さようなら、行きつけだったお店。
民事訴訟の準備に入った僕
即日、民事訴訟の手続きに入りました。
まず内容証明郵便を作成してリーダーに送付。
内容証明郵便は「事件の概要・請求額の内訳・支払期限・振込先」を明記することで、後に裁判が必要となった場合でも「請求など受けていない」と主張されるリスクを回避できます。
引用:マネーフォワード クラウド契約
内容証明郵便では、精神的苦痛と治療費込みで250,000円を請求しました。お金というより、不法行為をされたことに対して、罰を受けてほしい一心。
1か月の猶予を設けましたが、その後、連絡はなし。おいおいおい、わかってるだろうな?
そう、内容証明郵便で終わる人が圧倒的に多いですが、僕の性格上、最後まで決着がつかなければ終われません。
泣き寝入りできないんですよね。
ですので、その後、訴状を作成して、リーダーに送りました。
訴状の論点は一点だけに絞りました。
「暴行と傷害によるけがの程度、精神的苦痛」
論点を散らかすと裁判官に伝わりにくくなる。これは鉄則です。
さすがに訴状は無視できなかったのか、被告になったリーダーから反論文書が来ました。
「お前が高い店に連れて行き、お前がお金を出そうとしなかったからじゃないか!! 女といちゃいちゃしやがって。どうせホテルにいったんだろう?」
呆れましたね。 ただ、呆れを通り越して「反証材料やん」と思いました。
酒に酔っていたから仕方ないといった言い訳は通用しません。被害者にケガを負わせた時点で、加害者としての責任は免れません。
引用:弁護士法人ネクスパート法律事務所
少額訴訟での組み立て方
感情的にならず、いかに主張を曲げずに弁済してもらえるか。それだけを考えていました。
被告はぶちぎれ状態で、反論も感情的。「おいおい、ここ法廷やぞ」と思いましたが。
証拠は3点に整理しました。
- 甲1:店内カメラ映像(知り合いの店だから開示してもらえた。一般的な本人訴訟でのカメラ開示は難易度が高いです)
- 甲2-1〜甲2-10:キャストの女性10名の陳述書
- 甲3:治療記録(診療記録・カルテ・レセプト)
慰謝料の算定は交通事故の算定基準に準拠しました。通院回数・通院費用・慰謝料を積み上げる形です。
傷害事件の慰謝料は、通常、入院・通院に対する慰謝料として算定されます。実務上は傷害の等級と入院・通院日数等によって、ある程度数値化されています。
引用:TSL LEGAL PARK
シラフになってもその姿勢か、とかなり呆れましたけどね。
少額訴訟の本人訴訟決着
「和解しませんか」と裁判官から言われました。やはり、想定通り。
被告からのお願いは「刑事告訴を取り下げてほしい」とのことでした。
法的には、民事で和解しながら刑事告訴を取り下げない、という手段も取れます。
ただ、もともと駅伝を一緒に走った仲間です。 後日、警察署で被害届を取り下げました。
本人訴訟で重要なこと
本人訴訟は意外に体力を使います。
訴状を作るだけなら大丈夫ですが、争点の明確化と証拠書類の整合性が命です。
傷害事件で必要だったのは以下の3点でした。
- 店のカメラ開示(特別知り合いだから許可が出た)
- キャストの陳述書10枚(納得して署名してもらえれば証拠になる)
- 治療記録(事件との因果関係がある診断書が重要)
本人訴訟で重要なことを整理すると、
- 訴状の論点明確化(点と点を線で結ぶ)
- 証拠書類と訴状のリンク(甲号証番号で対応させる)
- 陳述書は納得署名があれば証拠になる
- 医療記録は事件との因果関係がある診断書があるかどうか
この事例は、和解に至り示談金で決着した例です。
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※対応が遅れることで不利になるケースもあります
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